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秋口にはぎっくり腰になりやすい?

季節の変わり目は体を壊しやすいことはよく言われています。特に夏から秋に入る時期には、それが顕著に現れます。風邪をひきやすくなる以外にも、秋口にはぎっくり腰になりやすい人もいらっしゃいます。ぎっくり腰と季節の変わり目に何の関係があるのか、イメージしにくいかもしれません。しかし、秋口ならではの気候によって、腰への負担が大きくなると言われています。

気温差によって腎臓に負担

夏は、30℃前後の気温が多く、毎日暑さへの対策が必要となりますが、秋に入るとそこから10℃近く気温が下がります。時には10〜15℃など肌寒い日が訪れたり、まれに秋晴れで25℃近い気温になるなど、気温差が激しい季節でもあります。
実はこうした気温差によって負担がかかっているのが、腎臓です。気温の変化が続くと、腎臓の働きがおちてしまいます。熱い場所では、体内の水分が汗として体外に蒸発していきます。しかし寒い時は汗をかかず、水分が体内にこもりがちになります。体内に溜まった水は尿として体外に排出しなければならなくなること、そもそも身体は36度から37度前後に体温を保たなければならないので、外気温が30℃から一気に20℃まで下がったりすることで、内臓たちは一生懸命一定に保てるように頑張ります。とくに腎臓は水分調整をすることで体温を一定に保つのに重要な役割をしていますので、気温差が大きいと、腎臓はくたびれてしまいます。
加えて、夏の間に冷たいものを摂りすぎてたりすると、すでに夏の間に身体に冷えを作っていることになり、また秋口は夏の装いのまま(半袖やサンダル、肌布団など)でいることが多いので、そこで一気に気温が下がるとさらに腎臓に疲労がたまり下垂します。

腎臓が下がり、腰への筋肉へ影響

腎臓が下がることで、なぜ”ぎっくり腰″になりやすくなるのでしょうか。腎臓の裏側には、腸腰筋という筋肉があります。歩く時や、上下運動をする時など、股関節を屈折させるために使う筋肉です。あまり聞きなれない名前ではありますが、実は人間の動きの中で、非常に重要な部分でもあります。
腎臓が下がってしまうと、この腸腰筋が引っ張られてしまい、緊張した状態になります。緊張状態が続いている間に、例えば中腰の姿勢が長かったり、捻り動作をすることもあります。腸腰筋は骨盤の位置を固定するための筋肉でもあるので、伸び縮みがうまくいかなくなった腸腰筋に負担がかかり、筋線維が切れてしまえば、筋筋膜性腰痛、腰椎を引っ張って関節に負担をかければ椎間関節性腰痛、さらに悪くすれば、腰椎ヘルニアを起こしてしまいます。総じて、どこに負担かかっても結局ぎっくり腰になりやすくなってしまいます(ぎっくり腰は急性腰痛の通称です)。
骨盤は体のバランスを支えるために重要な位置であり、特に腰への影響が強いです。腎臓が下がり、腸腰筋が頑張らなければならなくなり、持続的に頑張ってるところに、さらなる負担がかかった時、ぎっくり腰になるのです。このように、一見関係がなさそうな腎臓と腰も、体の構造上深い繋がりがあるため、秋口のような季節の変わり目に腰を痛める人が多くなってしまいます。

有効な対策は?

では、秋口にぎっくり腰にならないためにはどうすればよいのでしょうか。

まずは腎臓の動きを正常にすることを意識しましょう。そのためには、適度な水分補給と保温です。摂りすぎず、適度に水分補給をすることで、腎臓への負担が少なくなります。そして、冷たいものを摂ったり体を冷やしてしまうことにも注意してください。半身浴なんかで下半身を温めてあげるのも有効です。

また、体幹の筋肉が衰えてしまうと、腎臓を支えることが難しくなります。適度な運動をし、筋肉を動かしてあげることで、腎臓の負担を減らし、支えることができます。
ぎっくり腰は、骨盤や筋肉、骨などに原因があると考えてしまいがちですが、実は根本的には腎臓など内臓系からもくることも珍しくありません。ただ、なかなか原因を特定することは難しいのは現実です。しかし、ほとんどの場合、何か一時的にした何かの動作で故障することより、繰り返してきた生活習慣の方がよほど関係していることが多いです。最終的に症状を引き起こした引き金はあるかもしれませんが、それまでのプロセスがあってこそ起こった結果だととらえます。ですので、大事なのは健康的な生活をできるだけ続けることです。食事の内容、水分の補給、運動の頻度、睡眠時間など、当り前のことをしっかりと意識するだけで、健康問題の多くは解決します。特に季節の変わり目は、いつもよりも体調管理に気を配りましょう。

もし毎年秋口に腰が痛くなったり、ぎっくり腰になっていた人は、もしかすると腎臓の働きが悪くなっているかもしれません。冷たいものを摂りすぎていないか、体は適度に温めているか、一度振り返ってみましょう。